2.2022年度入試、人気の系統と志願者が動いた大学は
外国語系が低迷し、法学系志願者が増加
一般入試の人気を系統別に見ると、国公立大学、私立大学ともに「理高文低」です。理由の一つに、文科系の受験生の多くが推薦選抜で進学するからです。理科系では推薦選抜の募集人員の割合が小さいので、結果的に理高文低になってしまいます。
文科系では特に外国語系が振るいません。そのためか、私立大学の外国語系は今、どんどん国際系への改組を進めています。2022年度も摂南大学が外国語学部を改組して国際学部に改組しましたし、2023年度も関西外国語大学が国際共生学部を新設予定です。社会学系も人気がありません。特に地方の国立大学の福祉系は厳しかった。教員養成系も厳しかったですね。一方で増えたのは、私立大学の法学系です。これは地方公務員志向が主な要因だと思います。

理工系に大きな変化はなく、メディカル系が人気
理科系で増えているのは、医学部や薬学部などのメディカル系です。新型コロナワクチンへの対応や治療薬の開発など話題が豊富なことが人気の要因でしょう。理工系は2021年度並みぐらいでしょうか。特に増えた分野はなく、2021年度に減らした分が戻った程度という印象です。
女子大学は厳しい状況が続いています。関東の武蔵野大学、関西の京都橘大学などは早くに共学化に踏み切って成功していますし、津田塾大学が関西大学と、昭和女子大学がテンプル大学ジャパンとそれぞれ大学院教育で提携しています。しかし、全体的には今後志願者が増える要素は残念ながら見当たりません。
検定料の割引措置が志願者動向に大きく影響
2022年度入試の志願者の増減で顕著な動きが見られた大学を見ると、共通テスト利用入試を無料にした千葉工業大学と麗澤大学が志願者増。大阪経済法科大学ではすべての検定料を1万円とし、併願検定料を無料にして志願者を増やしました。来年は拓殖大学が1万円入試を実施するなど、検定料を割引する大学が増えると思います。近畿大学は情報学部を新設で増、青山学院大学は志願者を大きく減らした2021年度の反動で増えました。法政大学は共通テストの平均点ダウンの影響で一般方式への駆け込み出願があり大幅増加。東洋大学は共通テスト利用方式の前期試験で全学部の英語外部試験利用が可能になり、志願者を増やしました。この他、神奈川大学、関西学院大学、立命館大学、東京理科大学、名城大学、東北学院大学が志願者を増やしています。
反対に、中央大学は検定料の特例措置を廃止したことが影響して共通テスト利用方式の受験生が大きく減少。この他、明星大学、摂南大学、武蔵野大学、大東文化大学、関東学院大学、桜美林大学など、中堅大学での志願者減少が目立ちました。