3.現役生は2024年度入試にどう立ち向かうべきか
受験に悔いを残さないよう、第一志望校合格を貫いて
現役生の皆さんに言いたいのは、第一志望校合格という目標を最後まで貫いてほしいということです。第一志望校の年内入試であれば、合格の可能性を広げる手段の1つとして考えてもいいでしょう。しかし、志望校のランクを下げてしまうのでは、後悔する可能性があります。努力次第で学力アップの可能性が高まっていく秋のタイミングで、「不安だから」「自分の学力はこの辺だから」などと自分の限界を決めてしまうのは、本当にもったいないことです。進学したのに悔いが残り、5〜6月に駿台に相談にやって来る人が、毎年相当数います。彼らに話を聞くと、「第一志望校を諦めて受けなかった。同じ高校の友達は最後まで頑張って第一志望に受かった」などという声がよく出てきます。

模擬試験の結果が合否を決めるわけではない
浪人生と比べ現役生は受験勉強のスタートが遅いですから、模擬試験を受けてもなかなかいい判定が出ないこともあります。中には夏ぐらいまで部活をやっていて、そこから本腰を入れて勉強を始める人もいます。そして、少し成績が上がる兆しが出てきた頃に年内入試を迎えてしまう。それで「自分の可能性はこんなものかな」と思って進学先を決めてしまうわけです。でも、同じような学力の人の中には諦めずに頑張っている人もいて、入試本番まで勉強を続けて成績を上げ、第一志望合格を果たす人がたくさんいます。
駿台では現役合格者にアンケートを取っていますが、「最後まで諦めなかった」という人が一番多く、「いい判定が出なくても頑張り続けた」「諦めずに頑張った」という声が本当に多くあります。実際、合格者の模試判定の分布で一番多いのはC判定で、D判定とB判定の合格者数が、同程度だったという大学もあります。C・D判定で受験することは、決して無謀なチャレンジではありません。模擬試験が合否を決めるわけではありませんし、この後、どれだけ伸びるかは、本人の努力次第です。E判定でも諦める必要はありません。D・E判定になったということは何かが足りないわけで、その足りないところを克服していけば合格の道が開けてくるはずです。
一般入試直前まで勉強を続ければ、逆転合格も可能
多くの現役生は、年末から一般入試直前にかけて学力のピークを迎えます。年内入試で進学先を決めてしまうと、自分の可能性に気付くことができません。特に2024年度の共通テストは1月13日・14日の土日。国公立大学の前期試験が始まるのは2月25日なので、その間40日もあります。現役生は学力が日一日と増していくものです。だから諦めずに、粘り強く勉強を続ければ大いに伸びが期待でき、逆転合格の可能性もあります。2024年度入試では逆転合格が多くなるのではと予想しています。
2024年度入試で大切なのは、最後まで諦めない強い気持ち
若いうちに高い目標に向かって努力することは、その人のその後の人生にとても良い影響をもたらすことでしょう。少子化の時代の中で、中学入試も高校入試も比較的無難に突破してきた子どもたちにとって、大学受験は初めて大きな壁にぶつかることができるチャンスでもあります。保護者の方の中には「無理しなくてもいいじゃないか」と考える人も増えていることは確かです。しかし現役生にはぜひとも最後まで強い気持ちを貫いてもらいたいし、2024年度入試は、その思いを果たせる可能性が十分あると思っています。
profile
城田 高士 氏(しろた たかし)
駿台予備学校 入試情報室 部長
駿台予備学校の東大専門校舎・医学部専門校舎や現役生専門校舎などで、長年にわたり進路指導を担当。多くの受験生を第1志望校の難関大に送り出してきた。校舎責任者を経て現職。豊富な指導経験も踏まえた入試情報の発信を行っている。