受験のプロが語る!新課程入試を翌年に控え、受験生は2024年度の大学入試にどう臨むべきか。

2.2024年度入試の展望と2025年度の新課程入試予測

大学入学共通テストは志願者がさらに減る見通し

2024年度入試の動向ですが、共通テストはまだ確定的なことは言えないものの、志願者は2023年度から少し減る可能性があると思います。2023年度の受験人口は現役生と浪人生を合わせて約65万人で、2024年度は約62万9000人ですから。ただ、「共通テストはきちんと受けなさい」という高校の指導方針もあるので、大きく減ることはないでしょう。

出題傾向や難易度はだいたい落ち着くのではないかと思います。2025年度に新課程の入試が控えているので、その前年ということを考えると、大きな動きはないでしょう。個別試験も、同様の理由から大きな動きはないと思います。

駿台予備学校 入試情報室 部長 城田 高士氏

学部系統の動きは2023年度入試と大きな変化はなさそう

国公立大学・私立大学ともに学部系統の人気は2023年度とほぼ同じではないかと見ています。文系では経済・経営・商学系統、理系では薬学系統は少し落ち着くかもしれませんが、医、農・水産系統の人気は続くと思います。コロナ前は人気のあった国際関係系統の人気復活はもう少し先になりそうです。国際関係を志望する受験生にとっては、チャンスかもしれませんね。

併願校を絞る傾向も続くと思います。地域的な移動については、地方から首都圏、関西圏へという受験生の流れが徐々に増えてくるのではないでしょうか。

安全志向が強まる可能性

2024年度入試で予想されるのは、新課程入試への不安から第一志望校を諦める受験生が増えるのではないかということです。過去、2005年度入試では浪人発生数が14.3%減りました。これは、翌年からセンター試験にリスニングが導入されることになったためで、受験生は安全志向に走りました。浪人してでも第一志望校へというよりは、レベルを下げてでも現役で合格を目指す受験生が多かったわけです。2014年度も、翌年度から新課程入試になるため、浪人発生数は大きく減りました。

こうしたことから、新課程前年の2024年度入試も、安全志向が強まると考えられます。一般選抜志願者も、おそらく減るでしょう。2014年度入試を見ても、旧七帝大に東京工業大学、一橋大学、神戸大学を加えた難関国立10大学で2000人近く減り、早稲田大学、慶應義塾大学、GMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)も大きく減っています。

2025年度の新課程共通テストでは手厚い経過措置

現役生の中には、もしも浪人した場合、2025年度から実施される新課程入試に対応できるか気になる人もいるでしょう。結論から言えば、共通テストは手厚い経過措置があるので心配することはありません。地歴公民と数学には、旧課程履修者用の問題が用意されます。現在の高校2年生は新課程科目しか選択できませんが、浪人生はどちらでも受験できます。国語、英語、理科は新・旧課程の履修分野はそれほど大きく変わらないので不安になる必要はありません。

受験のプロが語る!2024年入試

追加される「情報」

2025年度入試からは「情報」が共通テストに加わります。現高3生にとっては、不安な気持ちもあるでしょう。しかし、仮に浪人したとしても、1年あれば十分に対応ができる科目です。しかも配点は大学によってまちまち。圧縮して100点以下とする大学が多いことも分かっています。極端な例は北海道大学。必須科目ですが配点は0点です。他の難関大学も配点が小さいところが多く、しかも新科目の導入初年度は出題が易しい傾向があります。それらを考えると、心配し過ぎる必要はないと思います。