受験のプロが語る!新課程入試を翌年に控え、受験生は2024年度の大学入試にどう臨むべきか。

3.現役生、高校1・2年生の心構え

模擬試験の結果は先生や保護者と共有しよう

ここまでの話で、模擬試験の意義についておわかりいただけたと思います。模擬試験は受験対策という戦略を立てるうえでの重要な資料です。保護者の方や進路指導の先生と共有して作戦を立てることも重要になります。保護者の方には志望校判定が悪くても慌てないでほしい。自分のお子さんがまだ伸びるのに、あるいは伸びている途中なのに、「だめかも」と諦めてしまっては、お子さんの自己実現につながりません。高3の秋以降、どうプラス思考でいられるかが、ご家庭でのサポートのポイントだと思います。

まずは模擬試験を受ける。偏差値は気にしない

高校1年生、2年生の皆さんや保護者の方に言いたいのは、勉強が進んできてから模擬試験を受けようというのは間違いだということです。これからの指針を立てるためにも模擬試験を利用していただきたい。「模擬試験が先で学習指針をつくるのは後」ということです。模擬試験は継続的に受けることで、効果が高まります。成績が少しずつ上がっているとか、上昇の兆しが見えてきたなどが目に見えてわかりますから、励みにもなります。

偏差値を気にする人も多くいますが、偏差値は模擬試験の母集団で変わってきます。共通テスト模試と記述型のハイレベル模試では母集団が違います。そうなると同じ学力でも偏差値が変わってきます。いろいろな模擬試験の結果を比べても、偏差値は単純に比較できないところがあることを理解してください。

自分の学力に限界をつくらない気持ちで

1章のイメージ図(図2)でも示した、元駿台生や現役生に取ったアンケートを紹介します。

Q.「現役合格できた理由は?」
@  最後まで諦めなかった
A  得意科目で得点できた
B  受験準備が早かった
C  計画的学習が実行できた
D  受験時に不得意科目がなかった
E  「運」以外のなにものもない
F  規則正しい生活を送った
G  集中力があった

一番回答で多かったのは、「@最後まで諦めなかった」という人です。ずっとA判定だった人からはこういう感想は出ないでしょう。模擬試験の判定が悪くて、思うように成績は上がらなかったが、合格できたという人が「最後まで諦めなかった」という感想になったと思います。「C計画的学習が実行できた」「D受験時には不得意科目がなかった」などの意見は、まさに模擬試験に関係があると思います。50点しか取れていなかった人でも、頑張れば50点伸びる可能性があるということです。不得意科目こそ伸びしろが大きいわけですね。中学受験や高校受験に比べ、大学受験は受験する科目が多くなりますが、その分、不得意科目が伸びる余地も大きい。「E運以外の何物でもない」というものも、@などと同様の考えから出た意見だと思います。実際に運で受かる人はいませんが、そう思うぐらい学力が理想と乖離していても、頑張り続けたことが良い結果につながったと思います。

現役生の皆さんは最後まで諦めないこと、高校1年生、2年生の皆さんは模擬試験を勉強の指針にすることを意識していきましょう。

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城田 高士(しろた たかし)氏
城田 高士 氏(しろた たかし)
駿台予備学校 入試情報室 部長
駿台予備学校の東大専門校舎・医学部専門校舎や現役生専門校舎などで、長年にわたり進路指導を担当。多くの受験生を第1志望校の難関大に送り出してきた。校舎責任者を経て現職。豊富な指導経験も踏まえた入試情報の発信を行っている。