受験のプロが語る!新課程入試を翌年に控え、受験生は2024年度の大学入試にどう臨むべきか。

2.模擬試験の意義と活用のポイント

模擬試験は自分の課題に気づかせてくれる貴重な機会

皆さんが結果に一喜一憂する模擬試験とはどんなものなのでしょうか。模擬試験は本番の入学試験を想定して行われる試験です。志望大学判定だけが模擬試験の目的ではありません。むしろ模擬試験は、その時点での自分の学力を客観的に知り、その後の受験対策を立てるうえでの指針を示してくれる非常に貴重かつ重要な資料だと考えてください。成績表は自分の得意分野・不得意分野を細部にわたって客観的に示してくれます。模擬試験は自分の課題に気づける大きなチャンス。自分が学んでいく上でのヒントを与えてくれます。具体的にどんなことがわかるのか、「駿台atama+共通テスト模試」の成績表を例に説明しましょう。

「設問別成績」でわかる、不得意科目に潜む苦手分野

模擬試験の成績表には、いろいろな情報が載っています。「教科・科目別成績」では成績の良かった科目、悪かった科目がわかります。
皆さんの中には、得意科目なのに意外と点を取れていなくても「今回はケアレスミスだ」とか「たまたま苦手なところが出たから」などと、結果を見て見ぬ振りをする人がいますが、謙虚に受け止めることが大切です。それをさらに詳しく分析したデータが「設問別成績」(図3)です。この受験生の数学UBは、設問1の「三角関数、指数・対数関数」と設問5の「ベクトル」は平均(▼マーク)を超えています。しかし設問2の「微分法・積分法」と設問4の「数列」は全国平均を大きく下回っています。ここから見出せる対策は、数学UBでは「微分法・積分法」と「数列」を重点的に強化することです。駿台でも教室の指導では設問別成績を大いに活用しています。模擬試験の判定が悪くても挽回して合格した人は、運が良かったからではありません。模擬試験の結果を謙虚に受け止め、きちんと対策を立てて勉強したからだと思います。
(図3) 図3

間違えた問題の原因を教えてくれる「正答率順設問別正誤表」

「正答率順設問別正誤表」もぜひ見てほしいデータです。(図4)

ここでは1問ずつの正答率がわかります。正答率の高かった問題から順に並べかえてありますので、左側ほど易しい問題といえるでしょう。この例では80%の正答率や70%の正答率の問題で失点しています。中にはケアレスミスもあるかもしれませんが、2つ3つと続けばケアレスミスとは言い切れません。単に「自分は易しい問題で間違えるんだな」で終わらせず、該当問題がどんな問題だったのかを振り返り、類題を解いてみましょう。まずは半分以上の人ができている問題はきちんと正答できるように対策をしてください。
(図4) 図4

学力以前の課題を教えてくれる「解答番号別マーク正答状況」

続いて、「解答番号別マーク正答状況」を紹介します。(図5)

これは、マーク解答の正誤状況と読み取り状況を表示したものです。Dとはダブルマークのことで、2カ所にマークされていたものです。原因としては、単純にマークする箇所がずれ、1つ手前が空欄になって同じところに2カ所塗っているケース。あとは消し方がちゃんとしていない人も結構います。マークシートは機械で読み取るので人間とは感覚が違います。ダブルマークや消し方が不完全、さらには自分で塗ったはずなのに無解答とかマークが薄いというP、こういったものが多い人は、学力以前の課題として今後の模擬試験で注意が必要です。また、右に行くほど×や無解答があるのは、難しくてできなかったのか時間切れになってしまったのか、どちらかだと考えられます。共通テストは出題形式が決まってきているので、時間配分の練習も現役生には必要です。時間配分は模擬試験や予想問題集などできちんと時間を計って対策しましょう。
(図5) 図5

志望校記入欄には第一志望校を書こう

最後に、志望校の記入欄には常に第一志望校を書きましょう。第一志望校は判定が悪そうだからと、安全校ばかり書いてももったいないと思います。

行きたい大学を書き続けることで、第一志望校合格までのやるべきことが見えてきます。何より合格への高い意欲を継続させることができるでしょう。