インプットしなければ、アウトプットすることはできません。だから、とにかく本をたくさん読むようにしていますし、積極的に映画や演劇を観るようにしています。常に意識しているのは、“縮小再生産”に陥らないようにすること。同じ作風のものばかり書いていても、いずれ限界が見えてきます。なるべく違うジャンルに挑戦し、自分の可能性を広げていくことが、長く物事を続けていく上で重要だと考えています。
新聞部と美術部に所属していましたが、それほど熱心に活動していたタイプではなかったと思います。エッセイのようなものを書いて、校内新聞に寄稿をしたり、油絵を描いたりしていました。とにかく、むちゃくちゃに本を乱読する日々を送っていましたね。それは今も変わりませんが(笑)。
大学生だった当時、小説家という職業は、年齢を重ねてからなるものだという風潮があって、私自身もそのように思い込んでいました。そのため、小説家に対して漠然とした憧れは抱いていたものの、卒業後はあまり迷うこともなく会社員として働き始めました。転機は酒見賢一さんのデビュー作『後宮小説』を読んだことです。その豊かな才能の持ち主が、私とたった1歳しか離れていないと知って、大きな衝撃を受けました。同時に、「若くても小説家にチャレンジしていいんだ!」と奮い立ったことを覚えています。
若い皆さんには、ぜひ“背伸び”をしてほしいですね。未熟な現状を受け入れて、諦めてしまっては、成長することができません。私自身、小説家になりたての頃は背伸びをしてばかりいました。知ったかぶりをしながらも、無知な自分が悔しくて、必死で勉強をしていたように思います。自分の限界を知ることは、辛い経験に違いありません。しかし、もっと可能性を広げるために、勇気をもって背伸びをしてほしいと願っています。
ありがとうございました!
進路を「自分で決める」のは勇気がいるけれど、自分の気持ちに正直な選択なら、困難も乗り切れるもの。
キャリタス進学で、「本気になれること」にとことん向き合える場所を探してみよう!