限界かどうかはわかりませんが、エヴェレストでの撮影が相当きつかったのは事実です。皆には黙っていたけれど、酸素が薄く、頭が痛い毎日でした。けれど、役者の代わりはいないので、もし山を下りることになったらそこで撮影が止まってしまいます。だから事前に山に登ったり低酸素室に入ったりと、事前準備は念入りにして行きました。過酷な現場でしたが、実際に現地に行ったからこそ撮れた作品だと思うので、その壮大なスケールを、ぜひスクリーンで感じてほしいです。
深町をおぶって氷山を登るシーンです。自分を大きく見せようとする深町と、関わりを避ける羽生。虚勢を張り合う二人の、本当の一面が表れている場面だと思います。
深町を演じた岡田君とは、ずっと一緒に仕事をしてみたいと思っていました。若手のトップを走り続けているだけあって、皆を引っ張る誠実なパワーがとにかくすごかったですね。厳しい撮影ではありましたが、彼と共演でき、すごく気持ちのいい現場でした。
“生きる”という精神力ですね。劇中に、「足がだめなら手で歩け、手がだめなら歯で歩け、歯がだめなら目で歩け―」という羽生のセリフがありますが、それはすごく大事なこと。諦めたら終わり。確かにその通りです。人間、窮地に追い込まれたときに、そういう気持ちがあるからこそ、乗り越えられるのだと思いました。
阿部寛さんが
役者として心がけていること、
そして今後にかける想いとは?