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INTERVIEW

高校生へのメッセージ!

SPECIAL INTERVIEW

人の心は弱いから、時には誰かのせいにしたくなる でも“人のせいにはしたくない” 5月10日(金)より全国公開 映画『チア男子!!』 朝井リョウさん

高校生の頃はどんな作家の本を読んでいましたか。その中で、印象に残っている本はありますか。

よく読んでいたのは、村山由佳さんや重松清さん、伊坂幸太郎さん、東野圭吾さん、吉田修一さんなどの現代作家の人気作。でも、当時は全く内容を理解できていませんでした。それでも読み続けていたのは、好きな表現を見つける作業が楽しかったからだと思います。例えば、辻仁成さんの、おそらく「海峡の光」に、「地を這うような声」という表現があるのですが、「“低い”って書いていないのに、“低い声”ってわかる!」と感動したことを覚えています。内容はわからなくても、「面白い表現に出会えるんじゃないか」という、“言葉の宝探し”みたいな気持ちで読んでいました。

小さい頃から本が好きだったのですか。

そうですね。講談社に「青い鳥文庫」というレーベルがあって、小学生の頃は、はやみねかおるさんの小説シリーズが大好きでした。小学生を対象にしているとは思えない本格ミステリで、中でも人間の二面性に焦点を当てるような話に刺激を受けました。私が今、「人間を立体として書くのが楽しい」と感じるのは、そうした小説から影響を受けているのかもしれません。

主人公・ハルは、柔道をやめてチアリーディングを始めますが、朝井さん自身、大きな決断をするときに大切していることはありますか。

“人のせいにしない”ことですね。例えば、私が会社を退職したことは、“決断”というほどのものではないかもしれませんが、それでも「自分で選んだ」ことだと思っています。人間は心が弱いから、どこかで「あの時辞めなければよかったな」とか、誰かのせいにした方が楽な時がある。でも、「そうしないようにしたい」と心掛けています。

最後に、小説家をめざす高校生たちや、目標に向かって頑張っている高校生たちにメッセージをお願いします。

小説家を目指す方に限って言えば、とにかく“作品を書き終え続ける”ことが大切だと思います。小説の執筆って、「この気持ちを書きたい!」と思いついた瞬間が理想の100点だとすると、書けば書くほど点数が下がって、書き終わる頃には1点とか2点とかになっているんです。自分の気持ちを表しきれる言葉がなくて、本当に書きたいことがそぎ落とされていくという意味で、点数が下がっていく。だから、そういう自分に向き合うことができなくて、書くことを辞めてしまう人も多い。でも、“小説家になる”というレースに参加するためには、とにかく書き終えなければいけない。意外と書き始める人も少なければ、一作でも書き終える人ってもっと少ないんです。その中で書き終え続けることができれば、いつの間にかレースの上位グループには入れるんです。そこからは正直、運も大きいと思うので、とにかく「書き終え続けること」、これに尽きると思います。

ありがとうございました!
進路を「自分で決める」のは勇気がいるけれど、自分の気持ちに正直な選択なら、困難も乗り切れるもの。
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好きから見つけるシゴトと学校

取材日:2019年4月11日

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