2025.11.12
2025年9月17日〜19日に開催された「第27回日本感性工学会大会」において、本学経済学部の津谷篤講師が指導する感性データサイエンスゼミナールの学生が、ポスター発表形式で研究成果を発表しました。4年生2名、3年生3名、2年生4名の計9名が4チームに分かれ、身近なテーマをデータで分析し、「感性×データ」の可能性を探りました。
発表テーマ
1. 自身の味覚評価によるアイスクリームのポジショニングマップの作成(栄喜 裕太さん、根田 朋幸さん)
バニラアイス6社、抹茶アイス4社、チョコミント3種類を対象に、各フレーバーごとの味の違いを分析しました。得られたデータを多変量化し、さらに主成分分析という方法で整理して2次元上に配置。その結果、アイスの「味の方向性」が視覚的にわかるポジショニングマップを作成しました。
2. 自身の味覚評価によるコンビニ食のポジショニングマップの作成(武蔵 大鷹さん、本庄 陽翔さん)
コンビニで販売されているプリン6商品、チキン5商品、醤油味カップ麺6商品を対象に、それぞれの「味の印象」を一対比較法で評価し多変量化しました。得られた多変量を主成分分析によって、平面空間にポジショニングマップ化しました。
3. スープの味毎のラーメン店舗数の都道府県分布マップの作成(石澤 成貴さん、菅原 拓寿さん、平川 怜さん)
25609店舗分のラーメン情報サイトの情報を元に、スープの味ごとの店舗数を都道府県別に分析し、日本地図上に可視化しました。ラーメンの味の種類を色で、店舗数の多さを色の濃淡で表し、都道府県ごとに塗り分けた日本地図を作成しました。色はシアン、マゼンタ、イエローの3原色を用い、混ざり方によって地域毎の味の特徴を表しています。
シアンを塩、マゼンタを醤油、イエローを味噌で塗り分けたマップでは、
1)福島県は暗い紺色を示していました。これは全国と比べ醤油、塩の店舗が共にかなり多く、さらには味噌店舗も少なくないことを示していました。
2)北海道は緑色で、これは全国と比べ塩、味噌の店舗が共に非常に多いのですが、醤油店舗の数がひかえめなことを示していました。
3)山形県は赤みを帯びた色となっており、これは全国と比べ味噌、醤油の店舗が共に多いのですが、塩店舗がとても少ないことを示していました。
4. アニメ聖地巡礼の地域活性化への活用法の提案(金子 大輝さん、池田 大河さん)
各都道府県の観光資源や食文化、温泉などのデータと、アニメの聖地情報(約9600地点分)を組み合わせ、地域活性化の施策を提案しました。アニメ聖地と観光資源の両方が揃う地域ではコラボレーションを推進し、観光資源が多いが聖地が少ない地域では新たなアニメ作品の誘致を促すなど、地域の特性に応じた活性化の方向性を示しました。
参加した学生からは、
「コンテンツツーリズムによる地域活性化という、自分が以前から興味を持っていたテーマについて研究し、その成果を発表しました。自分の力を余すことなく発表に発揮できたことを実感しており、満足のいく結果を得ることができました。」(池田 大河さん 4年)
「アイスクリームに関する発表をしたのですが、森永や、月桂冠、アサヒ飲料といった様々な飲食企業の方々から専門的なアドバイスをもらうことができて嬉しかったです。自分のキャリアを考える上で、とても良い経験になったと思います。今後行われる学会にも参加し、様々な分野に触れ新たな発見につなげたいと思います。」(栄喜 裕太さん 2年)
との感想がありました。
感性とデータを組み合わせた今回の学会での発表経験は、学生たちにとって大きな自信となりました。この経験を今後の成長の糧とし、新たな発見への探求や社会への貢献を目指す人材として歩み続けることを期待しています。