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2025/7/9

東北大学
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子の脳のどの部分が父親・母親に似ているのかを調査

東北大学学際科学フロンティア研究所の松平泉助教、大学院医学系研究科の山口涼大学院生(日本学術振興会特別研究員)、加齢医学研究所の瀧靖之教授の研究グループは、父・母・子からなる「親子トリオ」の脳MRI画像を用いて、子の脳のどの部分が、父親と母親のどちらに似ているのかを調査した。
「親子で性格が似ている」「親も子も心の不調を経験する」といった、考え方や行動の特徴が親から子へ受け継がれるように見える「世代間伝達」は、遺伝的要因と環境的要因の双方が関与すると考えられているが、その仕組みは明らかになっていない。この仕組みを解明するためには、脳の「かたち」における親子の類似性を探ることが重要な手がかりになると考えられている。先行研究の多くは、母親と子に焦点を当てたもので父親を含めた検討が不十分であったことから、研究グループでは父・母・子からなる「親子トリオ」を対象とし、トリオ152組の脳MRI画像を分析した。その結果、子の脳には「父親にのみ似る部分」「母親にのみ似る部分」「両親に似る部分」「どちらにも似ない部分」が存在することを発見。さらに、これらの構成には子の性別によって違いがあり、親子の脳の類似性は「父と娘」「母と息子」など、親子の性別の組合せによって異なることを明らかにした。研究グループは今後「なぜ親子で脳が似るのか」「なぜ性別によって似方が異なるのか」 「脳が似ていることと世代間伝達はどう関係するか」といった研究を進める予定で、親子間の精神的な不調の連鎖を断ち切るための、新たな治療方法の開発に繋がる可能性があると示唆している。