専修大学の総合型選抜(AO入試)|出願条件・倍率・入試対策を解説

専修大学では「経済学部 国際経済学科」「国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科」「ネットワーク情報学部」の3つの学部・学科で総合型選抜(AO入試)を実施しています。専修大学の該当学部を志望する受験生にとっては受験機会が増えるため、チャレンジを考えている人も多いのではないでしょうか。この記事では専修大学の総合型選抜について、難易度や合格のしやすさ、受験資格と条件などを解説します。

専修大学について|歴史・概要など

専修大学は1880年に開学しました。開学の中心となったのは、アメリカで経済学・法律学を修めた相馬永胤ら4人です。明治時代の創立から現代まで、140年以上続く歴史ある大学です。日本で初めての経済学と法律学を「日本語で」学べる高等教育機関として始まりました。建学の精神「質実剛健・誠実力行」を原点とし、社会の発展に貢献する学生を育てるという学風をもって、時代の変化に合わせて創立された新しい学部を含む8学部20学科を擁します。

大学受験の観点では、専修大学は日本大学、東洋大学、駒澤大学との「日東駒専」というグループで称されることが多いようです。

日東駒専というグループ分けは予備校や塾でも使われるため、「同じ偏差値帯なら、どの大学・学部を選んでも似ているのだろう」と考える受験生もいるかもしれません。しかし、大学・学部ごとに偏差値、実質倍率、入学後に学べる内容や授業の形式、卒業後の進路傾向は異なります。専修大学を志望する受験生は、自分に合った校風かどうか、学びたい学部・学科があるかを受験前に知っておくことが大切です。

専修大学の総合型選抜(AO入試)の特徴

専修大学の総合型選抜の実施学部・学科ごとに、過去の実質倍率、併願は可能かどうか、試験の概要など特徴について解説します。

合格しやすさは?専修大学で総合型選抜を実施している学部と過去の倍率


専修大学の総合型選抜の実質合格率は、以下のとおりです(表1)。おおむね3倍〜6倍となっていることがわかります。

【表1】専修大学2024(令和6)年度 各学部の総合型選抜(AO入試)結果と倍率
学部・学科 年度 志願者数 第1次選考 第2次選考 倍率
受験者数 合格者数 受験者数 合格者数
経済学部・国際経済学科 2024 71 71 32 28 18 3.9
2023 66 66 34 29 20 3.3
2022 62 62 35 30 20 3.1
2021 64 64 38 30 19 3.4
国際コミュニケーション学部・異文化コミュニケーション学科 2024 73 73 32 32 12 6.1
2023 70 70 24 24 13 5.4
2022 79 79 28 27 13 6.1
2021 87 87 30 29 15 5.8
ネットワーク情報学部 2024 38 38 16 13 9 4.2
2023 35 35 16 16 11 3.2
2022 30 30 14 13 8 3.8
2021 43 43 18 17 9 4.8
※本内容は、専修大学公表の情報をもとに掲載しています。

専修大学の一般選抜をはじめとする総合型選抜以外の入試結果は、おおむね2倍〜4倍程度(一部学部を除く)になっています。それと比較すると、総合型選抜の倍率の方が高い傾向があるかもしれません。逆に言うと、専修大学を志望し、受験機会を活用している受験生が多いとも考えられます。

(参考)専修大学 入試結果(過去3年分)

専修大学総合型選抜は併願できる?


入試要項によると、総合型選抜を行っている学部・学科のうち「経済学部 国際経済学科」と「ネットワーク情報学部」は出願条件として「専修大学(該当学部・学科)での勉学を強く希望し、入学を志す者」と書かれています。確約(必ず入学することを求める)記載がないことから、他大学との併願可能とも考えられます。

一方、「国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科」は、「他大学・他学部との併願を認めますが、本入学試験制度で合格した場合は、本学部に入学することを前提とします。」と明確に記載されています。

そもそも総合型選抜は、その大学で学ぶことを強く志望する、意欲ある学生への入学機会として行われている選抜方法です。専修大学が第一志望であることが当然望ましく、併願が可能だとしても、合格できたら専修大学に必ず入学する意思をもって出願準備を行ったほうが良いでしょう。

なお、専修大学の総合型選抜では、同一学部で複数の入試方式が実施される場合があります。「英語資格型」「発想力型」「探索力型」と型が分かれるのが一例です。この場合、出願できるのはいずれか一つの型だけです。

総合型選抜に不合格になった場合は、専修大学や他大学の一般選抜等へ出願することに問題はありません。

評定平均は必要?不要?


専修大学の総合型選抜(AO入試)では、評定平均は出願条件に含まれまず、不要です。高校での成績がふるわなかった受験生でもチャレンジできます。

ただし、評定平均は問われませんが、出願する学部・学科と選択する受験型によっては英語に関する一定の資格・スコアや、大学指定のワークショップへの参加、情報技術に関する技能を示すことが必要になります(後述)。

一次試験(第1次選考)・二次試験(第2次選考)の傾向と特徴


専修大学の総合型選抜では、いずれの学部・学科においても第1次選考と第2次選考があります。学部・学科ごとの内容は以下にまとめていますので参考にしてください。なお、詳細は必ず最新の大学発行の入試要項でご確認ください。

【表2】専修大学2025(令和7)年度 各学部の総合型選抜(AO入試)各選考内容
学部・学科 第1次選考 第2次選考 備考
方法 評価内容 方法 内容
経済学部 国際経済学科 英語資格型 書類審査・小論文 論題を正しく把握したうえで、関連資料やデータを調べ、論理的に書けているか 面接 自己紹介、志望動機や国際経済への関心事などを英語および日本語で説明できているか 第1次選考:小論文の評価をもっとも重視したうえで総合的に判断
発想力型 発想の基となる体験があり、その体験から得た着想であるか など 小論文の内容を、体験と学習にもとづいて具体的に説明できるか など
探索力型 課題図書を読みこなし、論旨を的確に把握しているか 提出された書類と小論文のほか、課題図書の内容について質問に明確に回答できるか
国際コミュニケーション学部・異文化コミュニケーション学科 書類審査・課題小論文 提出されたエントリーシートと課題小論文を総合的に評価 講義受講・小論文・面接 ・課題図書を用いた講義を受講
その課題図書と講義に関連する小論文作成
・エントリーシート、課題図書、講義を基にした質疑
第2次選考:面接では、場合によって受験生が得意とする外国語の応答が入ることがある
ネットワーク情報学部 探究学習アピール型 書類審査 出願書類をもとに総合的に評価 面接・記述式総合問題 ・面接:質疑応答。一人あたり20〜30分間程度
・記述式総合問題:3問程度出題
第1次選考:出願書類に自己推薦動画のweb提出あり。選択した型に合わせて指定の内容も必ず盛り込む
第2次選考:実施後に、解答内容に関する面接を実施することがある
自己アピール型
※本内容は、専修大学公表の情報をもとに掲載しています。入試関連情報は一部予定を含んでいる場合もありますので、必ず最新の大学発行の入試要項等でご確認ください。

専修大学の総合型選抜(AO入試)の学部ごとの募集概要

専修大学の総合型選抜における、学部ごとの募集の概要を以下にまとめました(表3)。学科ごとに出願期間や出願要件は異なります。必ず各学部・学科の募集要項を熟読してください。

【表3】専修大学2025(令和7)年度の学部・学科別の募集概要(総合型選抜)
学部・学科 募集人数 出願期間 第1次選考合格発表日 試験日(第2次選考) 第2次選考合格発表日 出願条件に関わる特記事項 募集要項(リンク先要確認)
経済学部 国際経済学科 20名 【WEB出願登録期間】
2024年 10月 4日(金)〜10月18日(金)
※郵送は10月18日(金)消印有効
2024年11月8日(金) 2024年11月16日(土) 2024年11月29日(金) 「英語資格型」にて出願を希望する者のみ、規定資格を取得した者 https://www.senshu-u.ac.jp/admission/shikenseido/nyushiyokodl.html#F1_EW
国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科 12名 【WEB出願登録期間】
2024年 9月 9日(月)〜 9月13日(金)
※郵送の場合は、9月13日(金)消印有効
2024年10月4日(金) 2024年10月12日(土) 2024年11月1日(金) 他大学・他学部との併願を認めるが、本入学試験制度で合格した場合は本学部に入学することを前提とする https://www.senshu-u.ac.jp/admission/shikenseido/nyushiyokodl.html#F1GC
ネットワーク情報学部 15名 【WEB出願登録期間】
令和6年 9月 10日(火)〜9月24日(火)
※郵送の場合は9月24日(火)消印有効
2024年10月24日(木) 2024年11月9日(土) 2024年11月15日(金) 出願の型により条件あり(右リンク先で確認してください) https://www.senshu-u.ac.jp/admission/shikenseido/nyushiyokodl.html#F1_NE
※本内容は、専修大学公表の情報をもとに掲載しています。入試関連情報は一部予定を含んでいる場合もありますので、必ず最新の大学発行の入試要項等でご確認ください。

専修大学の総合型選抜(AO入試)の対策方法

専修大学の総合型選抜に合格するには、具体的にどのような対策をすべきでしょうか。ここでは特に注意すべきことについて解説します。

専修大学の総合型選抜(AO入試)の対策方法

第1次選考対策


(1)経済学部 国際経済学科|課題小論文は十分な時間をかけよう


入試要項に、明確に「小論文の評価をもっとも重視し、その他の提出された書類も含め、総合的に評価し選考を行います。」と書かれています。出願する各型でも重視する内容は異なり、入試要項に詳しく記載されているため、事前に内容を十分に理解してから取り組み、時間をかけて納得のいくものを提出しましょう。

第2次選考では提出した書類や課題小論文について説明が求められます。「英語資格型」では、説明を日本語と英語で行えるかどうかも重視されます。事前練習が必須です。

(2)経済学部 国際経済学科|英語資格型で出願する場合は英語の資格取得が必要


専修大学経済学部国際経済学科は、「英語資格型」で出願を希望する者のみ出願条件に実用英語技能検定試験(英検®)やTOEFL®などにおける資格取得(既定のスコア獲得)が必要となっています。そのため、高校1年時から専修大学を志望している場合は、コツコツと英語の勉強を積み重ねておく必要があります。

資格 出願条件
実用英語技能検定(英検®)
(英検CBT®、英検S-CBT®含む)
CSEスコア2.0が1980点以上
◎CSEスコア2.0が2304点未満のものは、出身高等学校の英語の学習成績の状況が4.2以上
◎1級、準1級、2級のいずれかを受験し、上記のスコアを習得していること(合否は問わない)
TOEFL® iBTスコアが54点以上
◎「My Best™ Scores」は使用できません。
TOEIC® L&R 550点以上
IELTS™(Academic) 5.0以上
ケンブリッジ大学一般英語検定試験 PET以上
GTEC GTECスコア(オフィシャルスコアに限る)が1050点以上
(出典)2025(令和7)年度 総合型選抜(AO入試)〈経済学部 国際経済学科〉

第2次選考対策


(1)小論文・面接対策ともに「自分の意見を具体的に、わかりやすく記述・説明する練習」を行う


専修大学の総合型選抜では、各学部・学科とも自分の意見を的確に述べることが求められます。小論文においても課題を与えられ、それに対して必要十分に、与えられた時間内で意見を述べられるかが重視されます。選考方法に沿った練習を繰り返し、制限時間内に与えられたテーマできちんと書ききれるよう、事前の準備が必要です。

またネットワーク情報学部 ネットワーク情報学科では型を問わず、第1次選考でも「自己推薦動画作成上の注意」を参照して3分間の動画を作成することが求められます。いずれも動画で自分が何を行いどう考えたかを具体的に説明するものです。これをもとに第2次選考でも面接が行われます。

どの学部・学科においても、「自分の意見を具体的に、わかりやすく、相手に伝わるように説明する」技術が必要です。ある程度の時間をかけてしっかりと準備を行いましょう。

(2)総合型選抜で合格した先輩の話などを参考にしよう


専修大学の第2次選抜での試験課題は、各学部・学科で異なります。事前に入試要項を熟読してよく内容を理解し、当日に最高の力を出せるよう準備は入念に行いましょう。

当日の面接や小論文、記述式試験が「実際どのように行われたか」は、総合型選抜で専修大学に合格した先輩の体験談などが参考になるでしょう。学校の先輩のほか、予備校や塾の先輩で該当する人がいれば話を聞いてみてください。相談にのってもらうことで緊張感や不安も緩和されるかもしれません。

専修大学の総合型選抜(AO入試)をおすすめしたい人

専修大学の総合型選抜をぜひおすすめしたい人について解説します。

専修大学の総合型選抜(AO入試)の対策方法

専修大学が第一志望の人


明治以来「五大法律学校」と称された歴史ある大学で学びたいと考える受験生は、「専修大学での勉学を強く希望し、入学を志す者」という総合型選抜の出願条件に最も適しているといえるでしょう。

「どの学部でもいいから専修大学に行きたい」という人は、自分が得意な分野の選考形式がある学部に出願しましょう。出願機会が増えることで合格の確率も上げることができます。

評定や一般入試での合格に自信が無い人


専修大学の総合型選抜の出願に評定は不要なので、高校での成績がいまひとつだった人や、今まで受けた模試の判定が厳しかった人も挑戦できます。

経済学部国際経済学科を志望しており、英語に自信がある人


前述したように、専修大学経済学部国際経済学科に「英語資格型」で出願を希望する場合、出願条件に実用英語技能検定試験(英検®)やTOEFL®などにおける既定のスコアが必要となっています(詳細は入試要項をご確認ください)。

また同じく「英語資格型」の第2次選考において、第1次選考で提出した課題小論文について説明するほか、自己紹介、志望動機や国際経済への関心事などについて英語および日本語で説明できているかが重視されます。英語が得意な人、自分の考えを英語で説明することに自信がある人は挑戦してみるとよいでしょう。

ネットワーク情報学部を志望し、情報技術に精通している人


ネットワーク情報学部を自己アピール型で受験する場合、「ネットワーク情報学部での学びにつながる能力や経験」または「基本情報技術者試験合格等の情報技術に関する技能を示すことができる者」が出願条件となります。情報技術が得意で、すでにある程度の知識や何らかの実績がある場合は、チャレンジしてみるとよいでしょう。

最新の大学案内・募集要項を必ず入手する

専修大学の総合型選抜試験は、学部や方式によって出願要件や選抜方法が多様です。 専修大学の総合型選抜を志願する受験生は、まず大学が求める人物像や大学で学べることなどを最新の大学案内パンフレットで確認し、募集要項も取り寄せて熟読しておきましょう。情報収集が、合格対策への第一歩です。

専修大学の資料はここから請求できます。

まとめ

この記事では、専修大学の総合型選抜について解説しました。

専修大学は明治以来140年以上続く、伝統ある総合大学です。専修大学の総合型選抜入試倍率は一般選抜と同じか、やや高い傾向があります。しかし専修大学が第一志望の人や、志望学部・学科の選考方法が得意分野である人は挑戦する価値があるでしょう。

総合型選抜は事前準備が重要なため、先生や先輩の協力を仰ぎながら、自分の意見をまとめて発表する練習を行うなど、入念な準備を行い合格を勝ち取ってください。

記事提供


執筆者名:塾探しの窓口 編集部
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