2.2026年度入試の展望
高い目標を持っている受験生は有利?
2026年度入試の傾向を考える上でポイントになるのは、共通テストの平均点が3年連続で上がっていることです。2025年度は新課程における初めての試験でしたが、新課程2年目にもなると平均点が下がることが予想されます。
また、2025年度入試でも安全志向が強まりましたが、もし2026年度に平均点が下がるとなると、さらに安全志向が強まる可能性があると思います。そう考えると、高い目標を持っている受験生にとってはライバルが減り、有利になる可能性があります。
ますます浸透していく年内入試
共通テストはセンター試験と比べ知識偏重から思考力・判断力・表現力を問う形式に変化し、難易度が上昇しています。これにより受験生は、腰を据えて難関大学を目指す上位層と、早期合格を重視する安全志向の層とに大きく分かれていくことが予想されます。早期合格を重視する受験生は、総合型選抜・学校推薦型選抜といった「年内入試」に流れていくでしょう。
従来、“年内の”教科・科目に関する個別テストは公式に認められていませんでしたが、2025年6月に文部科学省から通知があり、条件付きながら容認されることになりました。そのため各大学は今後いっそう積極的に年内学力入試を導入することが予想されます。拡大してゆく「年内入試」ですが、その実態はさまざまです。詳細な書類審査や丁寧な面接等で入学者の能力・意欲・適性等を評価する一部の難関大学と、定員割れを防ぐために年内入試を拡大するその他多くの大学に、二極化しているのが現状です。
大学入学共通テストWeb出願への移行と注意
2026年度大学入学共通テストから新たにWeb出願が始まりました。出願の操作自体はそれほど難しくありませんが、パスワード設定の失敗といったトラブルも報告されています。学校の指導に従って、期限ぎりぎりではなく早めに手続きを進めることが重要です。
出願内容を登録する際に、「在学する高校への出願情報の提供」の同意の有無を尋ねる質問があることは念頭に置いておいてください。これまでの出願では高校の先生たちが対応してくれたと思いますが、Web出願は個人で行います。手続きに不備があった際、学校の先生が頼れる存在なのは間違いありません。よほどの事情がなければ同意し、先生のサポートを受けられる体制を整えていたほうがいいでしょう。
また、受験票は郵送されず、各自で印刷する必要があります。試験前日に受験票がないという事態も起こりうるので、余裕をもって準備しておきましょう。
3.大学入試、気になる新トレンド
淘汰の時代に突入する中、一部の大学に人気が集中
私立大学では、定員割れをしている大学が5割を超えています。少子化にともなう「大学全入時代」(入学希望者総数が入学定員総数を下回る状況)が直撃している中で、生き残りをかけた私立大学の競争は、これからもっと激しくなるでしょう。
しかし一部の私立大学は変わらず人気があるのも事実です。2025年度の全志願者数は320万人超ですが、その内、志願者数上位54大学の合計が全志願者数に占める割合は75%を超えています。見方を変えれば、残りの459大学がわずか4分の1の受験生を分け合っているという状況です。受験生が集まる大学と、そうでない大学との差は、これからもどんどん開いていくのではないでしょうか。
女子枠の拡大はチャンス。でも対策が必要
理工系学部の入試で「女子枠」が広がってきています。2025年度入試では神戸大学などが採用し、2026年度からは京都大学や大阪大学などでも新設されます。ですが、女性の志願者が急激に増えているわけではありません。チャレンジしたいと思っている受験生にとっては、チャンス拡大といえる状況です。
しかし、難関大学の女子枠を狙うのは、対策の負担が大きいのも事実です。枠が増えたからといって軽々に飛びつくのでなく、本当に行きたい大学なのかきちんと見極めることが大切です。
実際に足を運んで「行きたい大学」を見つける
大学全入時代に入り、受験生は「行ける大学」を簡単に見つけることができるようになりました。だからといって志望校選びが簡単になったわけではありません。評価の高い大学には魅力的な教育方針や環境があります。志望校選択の基準をしっかりと持ち、「行ける大学」ではなく「行きたい大学」を見つけることが大切です。
大学のホームページだけを見て決めるのではなく、ぜひ低学年のうちからオープンキャンパスに参加しましょう。キャンパスの雰囲気を肌で感じ、模擬授業を受けたり先生・先輩の話を聞いたりすることが、後悔のない大学選びにつながるはずです。