第5章自分の学力の「現状把握」の仕方

1.正確に自分の学力を説明できますか?

自分の学力に合わせた勉強ができていないと遠回りすることに

この「ギャップ」を知って、現状を把握することはなんとなく大事だとわかるかもしれませんが、一方で「多少難しい内容でも、きちんと理解していけば『大は小を兼ねる』のでは?」と思う人ももしかしたらいるかもしれません。実際自分も高校時代、いきなり難しい単語帳を買ってやってみようとしていました。

ただ、「自分に合わないレベル」から勉強を始めてしまうと、良くないことばかりなんですね。

まず、そもそも勉強が続きません。高校時代に買った単語帳も、ほとんどが知らない単語。難しくてなかなか覚える気にならないですし、普段読む文章でもなかなか出てこないのでどんどん忘れていってしまいます。そんな状況だとあまり取り組みたくなくなってしまいますし、難しくて解けないから億劫になる、ということはよくあることです。

そして、一番怖いのが、自分の学力を上回る参考書から始めてしまうと「気づいたときに基礎がぬけている」という事態が起こってしまうということ。

その場では順調に勉強を積み重ねられているようでも、あとから急に点数が伸びなくなることがあります。実際に教えていた生徒でも、共通テストの英語の長文の点数がなかなか上がらず、授業で聞いてみると『ターゲット1900』の単語は覚えているのに『ターゲット1400』レベルの単語が答えられず、そのせいで正確に長文を読めなくなっていた、ということがありました。受験期の11月頃だったので、そのときは急いで『ターゲット1400』の単語を覚え直しましたが、このように「基礎が抜けているせいで伸び悩む」ということが、気づかないうちに起こってしまうんです。こうなってしまうと、自分ひとりでは原因がわからず解決できないという事態に陥ってしまい危険です。

では「とにかく簡単なレベルからやっておけばいいのか?」というともちろんそれもNG。すでにすべて正解できるような簡単すぎる内容から始めても、身につくものは何もありません。勉強は「自分の目の前にある“できていないこと”をできるようになる」ことの繰り返しで成り立っていますから、すでに解けるもの、すでにできることを繰り返している時間は、計算の訓練など「ミスを減らす」練習を除いては無意味なものになってしまいます。

だからこそ、「自分の現状の学力」を正確に見極めた上で、そこからステップアップするための「目の前の勉強」が何に当たるのかを把握することがものすごく重要だというわけです。

この「目の前の勉強」から「志望校合格に必要な学力」に到達するために必要な参考書までを線でつないでいけば、自然と合格への計画は作られていくものです。

「志望校合格に必要な学力」の分析の仕方は第4章まででお伝えしました。次回から、差を出すために必要な情報のもう一方、「現状の自分の学力」の分析の仕方を詳しく具体的にお伝えしていきます!