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2026/1/7
東北大学
東北大学大学院工学研究科の大石若菜助教、水谷大二郎准教授らは、スウェーデン農業科学大学(Swedish University of Agricultural Sciences)との共同研究により、既存の大規模下水道インフラの縮小(ダウンサイジング)と分散型技術の導入を組み合わせた最適な「集中分散ベストミックス」を導出する新たな数理モデルを構築した。2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、暮らしを支える基盤である上下水道インフラが老朽化により危機的な状況にあることを浮き彫りにした。施設の老朽化が進む一方で人口減少が加速する将来において、誰一人取り残さずに上下水道サービスを維持するためには、従来の「大規模集中型」の仕組みだけに依存せず、地域の人口規模に応じて「集中型」と「分散型」の汚水処理技術を柔軟に組み合わせたシステムを実装していくことが求められている。さらに、公衆衛生の向上、浸水防止、水質保全に加え、脱炭素社会への貢献など、多様な社会的要請にも対応する必要が生じている。共同研究では、人口減少が進む社会において、集合処理(下水道)と個別処理(浄化槽)の最適な組み合わせ(ベストミックス)を定量的に算出するための数理最適化モデルを新たに開発。このモデルで、既存の下水道を更生して維持する場合と、廃止して浄化槽へ転換する場合の双方を対象とし、更新後50年間にわたる更新工事費や維持管理費、温室効果ガス排出量を最小化しつつ、バイオガス回収量を最大化する条件を同時に満たす最適解を求めた。その結果、数理最適化により導出した「集中分散ベストミックス」を適用した場合には、費用と環境負荷の双方を同時に低減できることが示され、両者のトレードオフが解消される可能性が示唆された。成果は、人口減少社会における下水道インフラ更新のあり方を先駆的に示したものであり、長期的な人口動態を見据えた計画的なダウンサイジングと数理最適解に基づく技術選択により、日常生活における安全性と快適性を維持しつつ、高効率かつ全体最適化された下水処理システム構築に資する成果といえる。また、数理最適化モデルは水道システムにも適用可能なため、人口減少社会にふさわしい持続可能な上下水道インフラの設計と更新計画に貢献できることが期待されている。
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