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2025/1/22
東北大学
東北大学災害科学国際研究所の上山眞知子特任教授(客員)らによる研究グループは、東日本大震災によって個人が所有する歴史文化資料(史料)が被災した後、第三者によって史料の救出・保存支援を受けた人たちに焦点を当て、この支援が史料所有者の心の復興に及ぼした影響について調査した。日本では、古文書など貴重な歴史文化資料(史料)の多くを、先祖の史料を受け継ぐ形で地域の個人が所有している。今回の研究に協力した史料所有者は20名。全員が東日本大震災で被災し、10名は自宅が全壊、10名は半壊であった。平均年齢は68.5歳で、200年以上の家系を持つ人は13名、100〜200年の家系を持つ人は7名。被災後は異なる時期に、全員がNPO法人宮城歴史資料保全ネットワークによる史料の救出・保存支援を受けた。心理学者・臨床心理士・歴史学者と連携した今回の研究では、全員にNPOによる支援から連想されるイメージを話してもらい、その内容を統計的に分析。その結果、被災後3ヶ月以内に支援を受けた人たちの多くは、史料の救出・保存支援については震災経験を肯定的に捉え、その後の地域社会とのかかわりも多いことが判明。一方、支援を受けた時期が遅かった人たちは経験を否定的に捉える傾向があり、被災程度は回答に影響していないことが明らかになった。この結果は、災害後の史料の救出・保存支援が、被災者のレジリエンス(災害などの困難に適応すること)に寄与し得ることを、統計的データ分析で裏付けたものとされる。史料救出・保存支援に限らず、災害後の心理社会的支援全般については、その効果を客観的に評価する方法は確立されておらず、研究も進んでいなかった。本研究は、災害後の史料救出・保存支援が被災者の心の復興に寄与し得ることを心理学のアプローチを用いた統計的データ分析から裏付けたもので、研究者のみならず被災者支援にかかわる人々に貴重な知見を提供している。
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