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2025/1/8
上智大学
上智大学国際教養学部国際教養学科のAkiko Frischhut助教は、深い瞑想状態における時間の経験を哲学的観点から解明した。昨今、夢や恍惚状態、深い瞑想状態など、覚醒と無意識の間を行き来する境界状態が近代哲学として関心を集めている。研究では、完全に没頭した瞑想状態は、完全に時間性の欠如した覚醒状態である一方で、「全体的に」「継続的に」覚醒している状態であると説明されていることに着目。前者は時間的な特徴を意識することなく覚醒していることを示唆しているのに対し、後者はある程度の時間、自身が覚醒していることを意識しなければならず、一見すると矛盾した現象ととらえられることについて、理論的な分析を行った。Frischhut助教は、さまざまな伝統、文化、時代における瞑想者たちの報告を精査し、深い瞑想状態を「純粋な意識体験(pure consciousness experience)」として特徴づけ、深い瞑想が「完全に時間を超越している(いかなる時間的特徴も持たない)」という一般的な考えに対し、「厳密には同意しないが、熟練した瞑想者がその体験を『時間を超越したもの』と表現することは十分に自然である」という立場を明示。その理由として、人間の持続時間体験を説明するための標準的な心理学モデルが、深い瞑想における時間体験を説明するのに適していないという問題を提起した上で、瞑想者は時間的構造がない中で持続時間を経験するという考えを提案した。さらに、熟練した瞑想者の報告などを精査し、瞑想中に持続的な覚醒を経験すると主張し、こうした持続的な覚醒の感覚が、時間的構造を伴わない持続時間の感覚を生み出す可能性を示唆した。この成果は、深い瞑想状態における時間の経験を探求し、非日常的な意識状態に光を当てたもので、哲学分野のみならず、生成AIにおける哲学的な議論にも新たな視点を提供しうることが期待されている。
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