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2023/5/17
東北大学
東北大学大学院薬学研究科の佐々木拓哉教授と佐々木(久我)奈穂子研究員、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らは、脳のメカニズムとして、「海馬の記憶」に着目し、ストレスによる精神症状の個体差は記憶に由来することを明らかにした。ヒトは精神的ストレスが過剰になると、不安やうつ症状が生じる。このようなストレス誘発性の精神症状には大きな個人差(個体差)があるが、その原因はこれまで解明されていなかった。マウスを用いた今回の研究では、精神的ストレスに曝されたマウスから海馬の脳波を記録。記録からは、ストレス負荷を経験した後に、さらにその記憶を脳内に固定するために重要な脳波(リップル)を多く発生させたマウスほど、うつ様の精神症状を生じやすいことが明らかになった。また、リップルの発生頻度をストレス後の運動などによって軽減すると、精神症状の発症が抑制されることが判明した。海馬の構造やリップル波の機能はマウスとヒトで非常に類似しているため、記憶を基にした精神症状の発症メカニズムは、ヒトでも同様である可能性が考えられる。この成果は、記憶能力や性格傾向の側面からストレス応答性の精神症状を考える重要な契機となるほか、運動が精神衛生上の良い効果をもたらす理由を説明する裏付けとなる。また、さらに検証を重ねることで、現代社会の精神衛生の向上への寄与も期待される。
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