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2023/1/11
東北大学
東北大学大学院工学研究科の山口健教授とNTTコミュニケーション科学基礎研究所の那須大毅主任研究員、カナダのリハビリテーション研究機関KITE Research Instituteの政二慶上席研究員の研究グループは、MLB(メジャーリーグベースボール)公式球の皮革部分と指先間の摩擦係数に及ぼす、すべり止め剤の効果を初めて明らかにした。野球では投手が投球時にすべり止めのロジン粉末を指に付けることが認められているが、グリップ性やボール回転数を上げるためにロジン粉末以外の粘着物質が不正に使用されていることが問題視されている。MLB公式球はすべりやすいとされ、グリップ性やボール回転数を上げるために粘着物質が不正に使用されることが問題となったが、MLB公式球のすべりやすさ、ロジン粉末や粘着物質などのすべり止め剤利用の影響については、摩擦係数に基づいた定量的な議論はなされておらず、感覚に基づいた議論にとどまっていた。研究グループは、ロジン粉末と粘着物質について、MLB公式球の皮革部分と指先間の摩擦係数とその影響を、摩擦試験により解明。野球の投手が投球時に利用するすべり止め剤のロジン粉末は、人による指の摩擦の違いや押付け荷重による摩擦係数の違いを小さくできることや、使用禁止の粘着物質の利用により50%程度摩擦係数が増加することと、特に投球のボールリリース直前に相当する低い押付け荷重時に摩擦係数が著しく増加することを明らかにした。また、MLB公式球とNPB公式球の摩擦係数の比較も併せて行ったところ、MLB公式球はNPB公式球に比べて20%程度摩擦係数が低く、すべりやすいことを実証した。これらの結果は、これまで感覚的に行われてきたボールのすべりやすさの評価に定量性を与えるもので、すべりにくいボールの導入や新しいすべり止めの開発に指針を与えるものと期待されている。
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