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2022/12/28
東北大学
東北大学災害科学国際研究所の藤井進准教授(災害医療情報学分野)、國井泰人准教授(災害精神医学分野)らからなる研究チームは、ウクライナ語でTwitterに発信された約9,850万件のツイートを分析し、戦禍にみまわれたウクライナにおける、医療ニーズやメンタルヘルスに関する状況を把握する研究を実施した。2022年2月24日にロシア政府が「特別軍事作戦」の開始を宣言し、ウクライナの首都キーウ近辺を含むウクライナ各地で軍事侵攻を開始して以降、ウクライナに住む人々の生活環境への影響、特に健康をとりまく状況の悪化が深刻に懸念されている。チームは研究にあたり、医療ニーズやメンタルヘルスに関するキーワードを含むツイート群を、「治療」(採血、検査等の語を含むツイート)、「症状」(熱、下痢等の語を含むもの)、「処置」(止血、心肺蘇生等の語を含むもの)、「医療資源」(病院、医師等の語を含むもの)、「戦禍での特別状況」(爆発、死亡等の語を含むもの)、「メンタルヘルス」(不安、抑うつ状態等の精神的状態に関する語を含むもの)の6カテゴリに分類。また分析期間は、侵攻前(2021年11月1日〜2022年2月23日)、急性期(2月24日〜3月23日の4週間)、亜急性期(3月24日〜6月15日の12週間)、慢性期(6月16日〜8月10日の8週間)の4期を設定し、ツイート群の傾向を、侵攻の前と後で比較した。その結果、侵攻直後にウクライナ語で発信されたツイート数は全体で約3倍に増加し、うち、医療やメンタルヘルスに関するツイート数は約4.4倍に増加していました。また、“糖尿病薬”という語を含むツイートは、侵攻直後、比率にして侵攻前の40倍以上に増加しており、出産や子供、高齢者などの災害時要配慮者に関するツイートも8倍以上の増加となった。メンタルヘルスに関連するツイートについては、侵攻直後に急上昇し、侵攻の長期化とともに再度増加しており、ウクライナのコミュニティにおける精神面の不調の増加が危惧される状況が示された。今後は、実際にうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症が増加するかどうかを慎重に注視する必要があるとともに、本研究の知見が、国際社会のウクライナ支援における重要なデータとなることが期待されている。
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