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2022/4/6
東北大学
東北大学大学院医学系研究科の精神看護学分野の中西三春准教授らのグループは、英国の代表的な住民コホートのひとつであるミレニアムコホート研究のデータを用いて、心の健康に関する指標の新型コロナウイルス感染症発生前後での変化を、ヤングケアラーと非ヤングケアラーとで比較する調査を行った。ヤングケアラーとは、一般に、支払いを受けない家族への介護を提供する18歳未満の若者のこと。ヤングケアラーへの社会的な関心は世界的に高まっているが、新型コロナウイルス禍による生活様式の変化が彼らの心の健康に及ぼす影響は明らかにされていなかった。グループは英国ミレニアムコホート研究で2018〜2019年の17歳時調査および2020年5月〜2021年3月のCOVID-19調査に参加した3,927名のデータを解析し、17歳時にヤングケアラーであった311名と非ヤングケアラー3,616名とで、心理的な苦痛や精神的なウェル・ビーイング(幸福度)の新型コロナウイルス感染症感染症発生前後での変化を比較した。その結果、ヤングケアラーは非ヤングケアラーに比べて、心理的な苦痛や精神的なウェル・ビーイングが新型コロナウイルス禍でより悪化していた。さらにヤングケアラーのほうが、新型コロナウイルス禍においてソーシャル・サポートが低く、社会的孤立を感じていた。心の健康指標の悪化にはこれらソーシャル・サポートの低さや社会的孤立が関連しており、新型コロナウイルス禍がもたらすヤングケアラーの社会的不利が明らかになったといえる。英国の当事者からは、社会福祉サービスが休止された分を補うために介護負担が増大したことや、休校や自宅での隔離で、ケア役割を離れて同年代と交流できる機会が失われたことも報告されており、この結果は、ソーシャル・サポートがヤングケアラーに届けられるよう体制を構築する必要性を示唆している。
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