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2021/2/10
東京医科歯科大学
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男教授と松山祐輔助教らの研究グループは、ハーバード大学、東京大学、岩手医科大学、福島リハビリテーションセンターとの共同研究で、東日本大震災に被災し家屋が全壊または流出した子どもは、未来の大きな利益よりも目先の小さな利益を選ぶ傾向が高いことを明らかにした。目先の小さな利益と未来の大きな利益のどちらを好むか(時間選好性)は、将来の健康状態や教育歴などを予測することが知られている。研究では、東日本大震災の被害と子どもの時間選好性の関係を明らかにすることを目的とし、被災時に宮城県・岩手県・福島県の保育園に通っていた平均年齢4.8歳の子ども167名を対象に調査を実施。対象者にはコインを5枚渡し、コイン1枚につき1個のキャンディをいまもらうか、コイン1枚につき2個のキャンディを1ヶ月後にもらうかの選択肢を与えた。選択結果を子どもの年齢・性別・母親の教育歴・震災前の経済状況の影響を考慮して解析したところ、統計的に有意ではなかったものの、家屋が全壊または流出した子どもは、家屋の被害がなかった子どもに比べて、「いま」にコインを0.535枚多く置いていた。その他のトラウマ体験(保護者との分離・親戚や友人が亡くなった・津波を目撃した・火災を目撃した・津波で流される人を目撃した・遺体を目撃した)をした子どもでは、時間選好性との関連はみられなかった。この結果は、震災で環境が変化したことにより、将来に対する不確実性を感じ、目先の小さな利益を選んでしまうことを示唆しており、被災したことの影響を多面的に評価していくことが求められている。
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