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2020/4/8
東北大学
東北大学大学院医学系研究科先進感染症予防学寄附講座の山谷睦雄教授らの研究グループは、一般に使用されている呼吸器疾患吸入薬(気管支拡張薬や吸入ステロイド薬)が風邪コロナウイルスの増殖と炎症を誘導する物質の放出を抑えることを明らかにした。風邪の症状を引き起こす風邪コロナウイルスに感染すると、慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息が悪化する場合がある。グループは、ヒト由来の呼吸器の培養細胞(気道上皮細胞)に風邪コロナウイルス(HCOV-229E)を感染させ、呼吸器疾患吸入薬がウイルスの増殖(放出量) に与える効果を調べた。その結果、呼吸器疾患吸入薬のうち気管支拡張薬は、細胞表面のウイルス粒子受容体を減らすことでウイルスの吸着を抑えたほか、ウイルス粒子の細胞内への取り込みに必要な構造体(酸性エンドソーム)の量を減らすことで、結果的にウイルスの増殖を抑えていることが明らかになった。さらに、気管支拡張薬や吸入ステロイトド薬を細胞に添加すると、炎症を誘導する物質の放出量が減少した。これらの結果から、呼吸器疾患吸入薬は、風邪コロナウイルス感染時における慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息の悪化に対する予防に貢献していると考えられる。なお、風邪コロナウイルスは現在感染拡大が懸念されている新型コロナウイルスとはタイプが異なり、RNAウイルスの一種である。
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