受験のプロが語る!新課程2年目!2026年度入試の最新動向を押さえよう。

2025年度の大学入試では、新課程の影響で大きな変化がありました。大学入学共通テストでは「情報」が新設され、1000点満点に。国語に「実用的文章」が出題されるなど、これまでと違う傾向の問題も登場しました。果たして2026年度入試は易しくなるのか、それとも難しくなるのか。大学入学共通テストのWeb出願が始まるなど、新たな変化も気になるところ。受験生が知っておきたい入試トレンドについて、駿台予備学校 入試情報室の城田高士室長にお話をうかがいました。

1.2025年度入試の振り返り

志願者は増えても、進行する「共通テスト離れ」

駿台予備学校 入試情報室長 城田 高士氏

大学受験者数は1992年度の約121.5万人をピークに徐々に減少し、2026年度にはピーク時の約半分、66.4万人ほどになる見込みです。また、全受験生の数を入学定員で割った平均倍率も1倍を下回る傾向が続いています。こうした変化を踏まえ、まずは2025年度の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の結果から振り返ってみましょう。

2025年度共通テストの志願者数は7年ぶりに増加しました。ですが、そもそも18歳人口が増える年にあたり、大学受験者数は1万人以上も増えました。にもかかわらず共通テスト志願者数は3000人程度しか増えていないことから、全体として受験生の「共通テスト離れ」は進んでいると見て間違いなさそうです。

新課程スタートで、平均点は上昇

2025年度共通テストの大きな変化は、新課程による試験が実施されたこと。6教科(1000点満点)予想平均点は、文系620点、理系633点となっており、2024年度の予想平均点(900点満点)を1000点満点に換算して比べると、文系は24点、理系では12点アップしていることになります。過去の例を見ても、入試制度やカリキュラムが大きく変わった年は平均点が上がる傾向にあり、2025年度も同様だったととらえることができるでしょう。その傾向を踏まえると、2026年度に関しては平均点が下がると予想する声も多く聞かれます。

科目別に平均点を見ていくと、新たに「実用的文章」が加わった国語では約10点上がっています。これは単純に、新設問の平均点分が上乗せされたとみることができるでしょう。また新しく始まった「情報T」の平均点は69.3点でしたが、これは全科目で最も高い得点率です。設問の状況を丁寧に読み取ることで対応できる設問が多く、取り組みやすかったという受験生の声も聞かれました。ただし来年度以降の難易度は上がる可能性が高く、油断は禁物です。

公立大学を狙った安全志向の動きが顕著

次に国公立大学の一般選抜志願者数です。国立大学は2024年度に比べ、前期・後期合わせて24人増えただけという結果でした。受験生数の増加に比べると、国立大学の志願者数はさほど伸びていません。その一方、増えているのが公立大学です。2024年度比5217人の増加、特に中期日程では1773人も増えています。中期日程の伸び幅がこれほど大きくなることはめったにありません。このことから、国立大学にチャレンジするというよりも、少しレベルを下げた公立大学に狙いを定め、手堅く受験をしているという傾向が見えてきます。

国公立大学では、社会系や国際関係系の人気が復活

受験のプロが語る!新課程2年目!2026年度入試の最新動向を押さえよう。

国公立大学ではどのような学部が人気だったのでしょうか。特徴としては見られたのは、文系学部、特に社会系、国際関係系への志願者数がだいぶ復活してきたことです。一方、コロナ禍で人気だった医療系のうち、保健衛生系や医学系、薬学系などは、少し志願者が減りました。ただ歯科系に関しては引き続き人気が続いていて、その傾向はしばらく続くという見方もあります。そして注目したいのが、「文理融合」の学部。2025年度も、総合科学系やデータサイエンス系に対する人気がみられました。

大きく志願者数を伸ばした私立大学

次に私立大学を見てみましょう。少子化にもかかわらず一般選抜の志願者が約324万人にのぼり、前年度に比べ19万人以上増加しています。特に共通テスト利用方式の増加が顕著で、国公立大学志望者の併願が増えたことが要因と考えられます。また、特に志願者数が多かった私立大学を見てみると、千葉工業大学が共通テスト利用方式の受験料を免除していることを追い風に1位となっています。昨年まで1位だった近畿大学が2位に、以下、明治大学、東洋大学、法政大学、立命館大学と続きます。

私立大学は文系が増加、特に社会系や国際関係系が目立つ

系統から見た2025年度私立大学の傾向ですが、国公立大同様に文系全体、特に外国語系や国際関係系、経済・経営・商学系、法学系の人気が高いようです。理系の人気も伸びてはいるのですが、文系の増加幅にはかないません。また、私立大学でも歯科系の人気がかなり高くなっているのが特徴です。