
専門職大学が来春スタート
介護・福祉系で認可申請が先行。IT系は2020年度から本格化しそう
来年度から、専門職大学が始まります。現時点では、介護・福祉系の認可申請が進んでいるようです。介護・福祉系人材への需要はすごくありますし、高齢者施設や障がい者施設などの実習先もありますから。一方IT系は、実習の受け入れが難しいのが現状で、この問題がクリアできるかどうかでしょう。経済産業省などでは、専門職大学で高度IT技術者を育成したい。IT系の人材不足が深刻ですから。IT系の専門職大学が本格的に動き出すのは2020年度以降とみています。IT系の専門学校や、大学を持っている法人でも検討しているところがあるようです。
専門職大学は「大学」ですから、卒業すれば大学院にも進学できます。専門学校を出ても、大学に編入して大学を卒業しなければ、大学院には進めません。現在の高校1年生、2年生で、例えばITの専門的な知識や技術を身につけたい人なら、大学か専門学校、さらには専門職大学という選択肢が加わってくるでしょう。
入試では、学力より受験生の主体性が問われそう
専門職大学に対する受験生の動きは、どんな特色あるカリキュラムを組むかということ以上に、入試に左右されるところが大きいと思います。現段階でどんな入試になるのかはまだわかりませんが、 おそらく大学ほど、自分が将来進む方向に必要な教科・科目以外はさほど重視しないのではないでしょうか。IT関係なら国語や社会の力はあまり問わないと思う。数学や物理の学力は見るとしても、AO入試のような主体性の評価が中心になると思います。
専門職大学への評価は手探り。4年後の就職実績に注目
現状ではまだ手探り状態ですし、専門職大学は専門学校の格上的存在というイメージがあるように思います。そういう意味でも、4年後の就職実績などが見えないと、専門職大学への評価は難しい。そのため現段階では、専門学校のカリキュラムでは飽き足らないと考えている層と、大学に行きたいけれども学科試験はちょっと厳しいと思っているような層が、当面の志願者の中心になる気がします。高校の進路指導の先生方も、まだよくわからないという印象です。入試科目がわかりませんから。
<取材日:2018年8月1日>
profile
石原 賢一(いしはら・けんいち)
駿台教育研究所進学情報事業部長。
駿台予備学校に入職後、学生指導、高校営業、カリキュラム編成を担当後、神戸校校舎長を経て、06より現職。