第3章まず敵を知ることが、合格への近道

1.「とりあえず参考書を買おう」は絶対ダメ

「まず敵を知る」ことからはじめよう

「合格に結びつく勉強」だけに集中するためには、何よりも「まずは敵を知る」ことが不可欠です。ここでいう「敵」は、自分の志望校のこと。入試というのは、志望校が出す問題を解いて、「自分はこの大学に入るのにふさわしい人物です!」ということをアピールして「大学に選んでもらう」ことなので、まずは志望校のことを知らないことには選んでもらうことができません。

「そんなに大学によってやることが違うの?」と思う人も、もしかしたらいるかもしれません。私立大学であれば、文系なら英語・国語・社会、理系なら英語・数学・理科をやっていればいいんじゃないの?とついつい思ってしまいがちですが、実際はもっと複雑なのが入試です。

よく言われるのが、細かい出題形式の違い。英語一つをとっても、大学によって「英作文が出題されるか?」「文法の並び替え問題が出題されるか?」など出題形式が大きく違います。たとえば早稲田大学でも、社会科学部では文法の並び替え問題が複数出題される一方で、文化構想学部では全く出題されず、代わりに英作文が出題されるということがあります。社会科学部志望の人がいくら英作文の勉強をやっていても、「社会科学部」の入試の点数は直接的には上がらないということになってしまいます。

このほか大きな違いが配点。同じく早稲田大学でも、200点満点中の英語の配点が100点もある学部(国際教養学部)もあれば、同じ200点満点でも80点の学部(商学部)もあります。大学によってはもっと差があるところもあり、この違いによっても「どのくらい英語に時間をかけるのか?」が変わってくるわけです。
国公立大学などでは、たとえば文系の理科基礎など「共通テストでしか使わず、全体の配点の10%もないような科目」といった場合、あまり勉強時間をかけないという戦略も必要になってきます。理科基礎で10点上げるより、配点の高い英語で10点上げたほうが合格点は高くなるからです。

このように、大学によって配点も傾向も違うわけですから、もちろん「どの科目を重点的に勉強するか?」「どの分野をどのレベルまで勉強すべきか?」が大きく変わるわけです。これに加え、自分の今の学力レベルにあった勉強から始めないといけないわけですから、「とりあえず勉強を始める」だと、自分に必要のない、あるいはレベルに合わない勉強に取り組んでしまう可能性が高くなります。

次回以降は、この「自分の学力」や「志望校の学力」を知る具体的な方法について解説していきます!