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2021/12/8

東北大学
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新型コロナウイルス感染拡大による中核的信念の揺らぎを調査

東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング学際重点研究センターの松平泉助教、瀧靖之教授らの研究グループは、2020年7月に1,196名の日本人を対象としたWeb調査を行い、新型コロナウイルスの感染拡大が人々の「中核的信念」の揺らぎを引き起こしたことや、揺らぎが大きいほど抑うつや不安感も大きいことを明らかにした。
中核的信念とは、自分の価値や世界の公平性について一人一人が持っている根本的な価値観。調査では、新型コロナウイルスの感染拡大による中核的信念の揺らぎの程度についての質問のほか、年齢、性別、居住地、婚姻状況、子どもの休校の有無、感染拡大に伴う収入の変化、2020年4〜5月の1回目の緊急事態宣言発令中に自分自身が感染対策に協力できていたと感じる程度(協力達成感)、感染対策への協力を負担に感じた程度(負担感)、感染拡大そのものに感じたストレスの程度、さらに調査実施時点での心理的苦痛(抑うつと不安)の程度を質問項目とした。統計解析の結果、感染対策への負担感・感染拡大に伴う減収・感染拡大自体に感じるストレスは、中核的信念の揺らぎと心理的苦痛の大きさに寄与することが明らかとなり、感染対策への協力達成感は中核的信念の揺らぎの大きさのみに寄与した。また、新型コロナウイルスの感染拡大によって中核的信念が大きく揺らいだ人ほど、心理的苦痛を強く感じていることも確認された。この結果は、感染症との戦いにおいて人の心理に生じる変化を考慮することの重要性を示唆していると考えられる。