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2021/8/4
ハエの脳内ドーパミンにかかる抑制制御を人工的に操作すると、報酬の効果が増大
東北大学大学院生命科学研究科の山方恒宏准教授、谷本拓教授らのグループは、ショウジョウバエを用いた研究で、その行動が脳内のドーパミンニューロンに対する抑制レベルが低下することにより、楽天的に変化することを発見した。
これまでの研究により、楽天主義には脳の報酬系、特に神経伝達物質ドーパミンのはたらきが関わっていることが知られているが、その制御のしくみは明らかになっていない。グループは、GABAによる抑制制御を人工的に解除したショウジョウバエを用いて研究を行ったところ、抑制制御を人工的に解除したショウジョウバエには同じ報酬でも強い記憶が形成され、楽天的に行動する様子が観察された。このことは、楽天的な「個性」がわずか1μmにも満たない微細な脳構造の機能変化によって決定されていることを示している。本成果は、ヒトを含むさまざまな動物種の行動にも共通する仕組みであると考えられ、進化の段階で獲得され、引き継がれてきた普遍的な脳の機能だと考えられえる。