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2020/7/8

片頭痛の前兆に関与する遺伝子をマウスで発見

東京医科歯科大学難治疾患研究所分子神経科学分野の相澤秀紀前准教授(現広島大学大学院医系科学研究科教授)と田中光一教授の研究グループは、グルタミン酸輸送体GLT-1遺伝子が片頭痛の前兆における感受性に関与することを動物実験で明らかにした。
頭痛の中でも激しい痛みを伴い、50歳未満の損失生存年数(障害を有することによって失われた年数)が最も多い片頭痛のメカニズムには不明な点が多く残されている。グループは、神経細胞の興奮性を制御するグルタミン酸代謝に着目し、グルタミン酸輸送体が片頭痛の前兆の感受性を決定するという仮説を立て、マウスを用いて脳の興奮性を研究した。その結果、3種類あるグルタミン酸輸送体のうち、GLT-1の異常によって興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が細胞外に過剰に蓄積されることを明らかにした。この成果は、GLT-1遺伝子およびその主な産生細胞であるグリア細胞が前兆を伴う片頭痛の新しい治療標的として有効であることを示しており、GLT-1を標的にした片頭痛の病態解明と新規治療法開発への応用が期待される。