社会を便利にするモノ作りの最前線 メーカー 食品・飲料/薬品・医療機器/化粧品・家庭用品/アパレル/素材(繊維・化学/鉄鋼・非鉄金属/紙・パルプ)/自動車/AV・家電/OA・精密機器/重機・建設機器・工作機械

 一言でメーカーと言っても製造しているものはさまざま。消費者が直接購入する食品や家電、自動車、携帯電話などから、その部品や原材料となる素材まで多岐にわたります。日本のメーカーの製品力・技術力は世界で最先端を誇り、各業種とも海外に市場を拡大してきましたが、近年、アジア諸国などとの競争も大きな課題となっています。国際競争力を高めるため、業種によっては大規模な合併・再編が続いています。

メーカーの仕事と魅力
どんなやりがいがある?

 製品の種類はさまざまですが、いずれの企業でも、顧客企業や消費者のニーズに合わせて開発・製造した製品を提供していく喜びを味わえることが、一番の魅力となってきます。モノ作りを通して、人々の暮らしを、より快適で豊かにしていくことに貢献できます。

どんな能力が求められる?

 一番求められるのはモノ作りを大切にする心。また、時代のニーズに即したよりよい製品を作り上げていくためには、時代を読む力と飽くなき探求心、幅広い視野を持ち続けることも必要とされます。技術者として研究・開発・製造に携わる職種では、化学や工学などの専門的知識・技術が不可欠の場合もあります。

どんな職種で活躍できる?
文系の主な職種
営業

 顧客に対して自社の製品を売り込む取引の最前線。扱う製品によって、営業先は国内だけでなく世界中に広がります。製品の使い方などを提案していく企画的側面を持つことも。

商品企画・開発

 顧客や消費者のニーズに合わせて新しい製品を作り上げていく仕事。研究開発部門やデザイン部門などに、自分のイメージを伝え、アイデアを形にしていきます。

理系の主な職種
生産技術

 製品を量産するための技術開発や生産設備の開発、設計などを行う仕事。製造現場で技術指導に当たることも多く、海外生産の場合、現地の工場に出向くこともあります。

研究開発

 大まかには素材や原材料の機能や性能を研究する基礎研究と、新技術の開発に当たる応用研究に分かれます。そこでの研究成果を、製品の形にしていきます。

メーカーの今を読み解くTopics トピックス
Topics1
コンプライアンスとディスクロージャー

 コンプライアンスとは企業が法令や倫理や道徳など社会的規範を遵守すること、ディスクロージャーは企業の情報開示責任のことです。すべての業界において求められていることですが、中でもメーカーにとっては大変重要な意味を持っています。メーカーは、社会に広く製品を提供していくという役割を担っているため、もしも製品に欠陥や不都合があった場合、的確な対応と情報の開示が求められるからです。そこでメーカー各社では現在、社内に専門の部署を設置したり、外部の監督委員会を設けるなどして、コンプライアンスやディスクロージャーに取り組んでいます。こうした対応は企業の社会的責任(CSR)の一環であり、熱心に取り組んでいる企業は、企業価値を高めるという成果を得ています。こうした動きは今後いっそう強まっていくでしょう。

Topics2
品質管理・品質保証〜取得が進むISO

 高品質の製品を消費者に提供していくことは、企業のブランド力を高めるために必要なことで、メーカーにおいて品質管理は基本とされてきました。さらに近年、各企業で取得が進んでいるのが、品質管理と品質保証の国際規格ISO9001です。国際競争力を高めるためにも、また顧客満足の向上を目指すためにも取得が欠かせないものとなってきています。また、食の安全が重視されるようになってきたことから、食品メーカーではHACCPの導入も進んでいます。これは、原材料の調達から全工程にわたって起こり得る危害をリストアップし、その発生を防ぐために重要な管理点を監視し、記録に残すという衛生管理手法です。消費者の健康に配慮し、製品の品質をより高めていくことは、メーカーにとっての重要なテーマとなっています。

Topics3
素材インフレ

 国際的に原材料の価格が上昇することを言います。海外の世情や新興国の経済成長による需要増加の影響を受けて、2003年ごろから鋼材、非鉄金属、原油などの価格上昇が続いてきました。さらに、2008年のリーマンショックが、原材料の価格に大きな影響を与えています。原材料の価格上昇は製品の原価に跳ね返ることになりますが、製品価格自体はデフレの状況が続いており、その差額分のコストを企業が吸収してきたため、企業収益にも大きな影響を与えてきました。最終的に製品価格を上げる動きも出ていますが、原材料価格の上昇に追い付いていないのが現状です。メーカーは素材インフレに直接関わる業種だけに、それをどう乗り切るかが、企業成長の大きなカギを握ると言われています。

高騰を続ける原油価格
メーカーのこれからを予測するKeyword キーワード
Keyword1
技術者の退職と海外流出

 日本のメーカーは、熟練技術者により発展を遂げてきました。しかし、いま過渡期を迎えています。熟練技術者の中心である団塊世代(1947〜49年生まれ)は2012年から65歳を迎えており、定年退職者が出ています。また、国内のメーカーで業績不振が続く一方で、韓国や中国のメーカーによって日本の優れた技術者が破格の年俸でヘッドハンティングされるケースが増えています。優れた技能を持つ人材の退職・海外流出で、積み重ねてきたノウハウが失われてしまうことが懸念されており、各企業は雇用期間の延長や若年層への技能伝承の強化に取り組んでいます。また、技能者枠での新卒採用の拡大も活発化していくと見られています。将来のモノ作りの担い手となりえるような専門的知識や技術を身につけた人材が、今後、製造業で多く求められてくるでしょう。

Keyword2
模倣品問題と知的財産権

 近年、各メーカーが海外の現地企業と提携して製品を生産する中で、中国などアジア市場で浮上してきた問題が模倣品です。特に自動車や二輪車、家電製品、電子部品などにおいて、日本の技術やデザイン、商標まで模倣したものが大量に出回り、経済的にもイメージ的にも被害を与えています。模倣品は海外市場のみならず、インターネット取引などを通じて日本での販売も増加しており、模倣品の輸入差し止め件数も年々増加しています。技術やデザインなどは知的財産に当たり保護されるべきもので、侵害されることは企業の死活問題にもなります。それに対抗すべく、企業では海外における特許や商標登録の出願、知的財産活動費を増加させています。

知的財産侵害による輸入差し止め件数
Keyword3
環境商品の開発
義務付けられているリサイクル法

 21世紀のキーワードともなる「環境」。この分野の日本の技術力は世界トップレベルにあると言われています。自動車メーカーでは、ハイブリッドカーや燃料電池車、水素エンジン車に加え、バイオエタノールを燃料とする車の開発も本格化し始めています。食品メーカーでは、食品廃棄物の削減のため、生産工程の改善への取り組みが進んでいます。電機メーカーでは省エネ化に取り組んできた結果、冷蔵庫やエアコンなどは10年前と比較して、消費電力30〜50%の減少を実現しています。また、こうした環境商品の開発だけでなく、原材料・部品の調達から製造、物流、使用済み製品のリサイクルにおいても環境負荷の削減が進展しており、持続可能な社会に向けたメーカーの役割は非常に大きいと言えます。今後、技術立国ニッポンの再興が「環境」を基点に始まる可能性もあり、メーカーにおいては、環境についての知識や発想を持った人材が重要度を増していくでしょう。


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