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2026/3/25
早稲田大学
早稲田大学国際学術院・中村智栄准教授、マサチューセッツ工科大学・Suzanne Flynn教授、大阪大学・宮本陽一教授、宮城学院女子大学・遊佐典昭教授の研究グループは、英語母語話者と第二言語として英語を学ぶ日本語母語話者を比較し、脳内の言語処理の過程を視線計測を用いて分析した。近年の文理解研究においては、人間の脳は文の終わりを待つのではなく、実際には意味が確定する前から、次に来る構造や解釈を予測する先読み(予測処理)を行っているとされている。しかし予測処理の多くの研究は主に英語など限られた言語を対象として行われており、英語とは語順や文構造が大きく異なる言語の場合や、言語の習熟度が異なる場合の予測処理の働きについては明らかにされていなかった。本研究では、視線の移動が脳内でどの解釈に注意が向いているかを反映する視線計測を用いた「visual world paradigm」という実験手法を採用。英語母語話者、日本語母語話者、第二言語として英語を学ぶ学習者を対象とし、複数の絵を見ながら文を聞く際の視線の動きをミリ秒単位で計測した。例えば、「Where did Lizzie tell someone that she was going to catch butterflies?(どこでリジーは蝶々を捕まえたと言いましたか?)」のように、出来事の場所が「言った場所」なのか「捕まえた場所」なのかが曖昧になる文を用いて実験を行った結果、文末を聞き終える前に、視線が特定の解釈に向かって早い段階から動き始めることが確認された。また、日本語と英語の比較では、英語では比較的早い段階で一つの解釈に強く傾く傾向が見られたのに対し、日本語では予測のタイミングや傾き方が異なることが示され、言語の構造の違いが予測の仕方に影響していることが明らかになった。さらに、日本語を母語とし英語を第二言語として学ぶ話者の英語を理解する過程を分析したところ、日本語の処理の仕方がそのまま英語に適用されるのではなく、英語の構造に合わせて予測の仕組みが調整されることが示され、言語が変わると脳内で用いられる理解の方略も柔軟に変化することが明らかになった。この成果は、外国語学習において語彙や文法知識の習得だけでなく、文をリアルタイムでどのように理解していくかという処理過程そのものが重要である可能性を示しており、このような処理の適応を促す学習方法の検討が進めば、外国語理解の困難さの要因を新たな観点から捉え直し、より効果的な学習支援につながると期待される。
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