• 研究

2016/4/6

がん移転に寄与するハイプシン経路を新規がん治療標的経路として同定

東京医科歯科大学・難治疾患研究所・分子細胞遺伝分野の稲澤譲治教授、村松智輝助教らの研究グループは、がんの浸潤・転移を制御するハイプシン経路の分子機構を解明した。研究では、口腔扁平上皮がん細胞株から樹立した高転移性亜株において、ゲノム・エピゲノム・遺伝子発現の網羅的解析とシステム生物学的手法を組み合わせた統合的オミックス解析を実施。高転移性亜株のゲノム一次構造の変化から、タンパク質翻訳機構の制御に関わるDeoxhypusine synthase（DHPS）をがん遺伝子として同定したほか、DHPSの過剰発現によるハイプシン経路の活性化は、動物モデルにおいてがんの湿潤・転移、腫瘍形成能を促進させることを明らかにし、がん移転に寄与するハイプシン経路を新規がん治療標的経路として同定した。成果は国際科学雑誌『Oncogen』のオンライン版に4月4日に発表されている。