日本における「リベラルアーツ」とは?
社会がますます多様化・複雑化する中、「リベラルアーツ」教育に対する取り組みが大学などの高等教育機関において、再燃しつつあります。
本来、「リベラルアーツ」とは人文科学、社会科学、自然科学などの領域を学際的に学び、多角的な視野と高度な知識を幅広く身につけていく教育体系を意味します。
日本ではこれまで一部の大学において、独立した一つの学部として主に展開されてきました。しかし、近年、一般教育や教養課程の改編・整備により新たな学際分野の教育・研究を行う学部が誕生しており、それらにおいてリベラルアーツを扱うケースが増えてきました。また、リベラルアーツ教育を強化することを目的に専門の学部・学群を設置し、大学の個性や特色を一層明確にしていきたいとする動きも見られます。
「知識基盤社会」の時代と呼ばれる21世紀。日本は深い教養と高度な専門性に裏付けられた知的リーダーを育成することが急務の課題といえます。それだけに今後ますます、「リベラルアーツ」教育に対する注目度が高まっていくことでしょう。
何を学べるか
「リベラルアーツ」に特化した学部や学群では一体、何を、どのように学べるのでしょうか。
これらの学部・学群では、受験時または入学時に、自分の専門分野を決めておく必要はありません。入学後にまずは、人文・社会・自然科学を超えた広い学問領域を一通り学び、時代の変化に対応していくための基礎的な知識を養います。その上で、いくつかの専門領域から自分の専攻を決め、主専攻・副専攻のダブル専攻により複数の専門科目群を学ぶことができます。大学によっては、さらに語学力の向上や異文化コミュニケーション能力を培うために留学プログラムを用意している例もあります。
いずれの大学も、興味に応じて段階的に専門性を深めていけるカリキュラムが工夫されており、学問の「広さと深さ」を同時に追求していくことができます。さまざまな学びのあり方に触れるなかで、総合的な思考力や柔軟な発想、豊かな人間性を培える、それが「リベラルアーツ」を学ぶ本質といえるでしょう。